⑯ マスレンジャーじゃなくて長い竿がいい

その頃、息子は「鱒レンジャー」という竿を使っていました。
鱒レンジャーは、もともと淡水の管理釣り場用として作られた竿だそうです。
中が空洞になっていないグラス製なので、とっても柔らかくて折れにくく、また短いので、
子どもの入門竿に適しているのでは、と私たちはと考えていました。

なるほど、息子の予測不能なトリッキーな動きにも、そのしなやかすぎるボディで柔軟に対応してくれます。
鱒レンジャーを振り回し続けた息子、いつの間にか、自由自在に扱えるようになっていました。
しなりを活かして遠投し、狙った場所にうまいことキャストします。
この鱒レンジャーの振り回しが、彼のキャストの基礎となり、
こののちに彼が手にすることになるシーバスロッドで、応用、発展させていくことになるのです。

さて、ある時、遠くにキャストする方法を考えていた息子、
遠くに飛ばすには、長い竿の方が適していることに気付きます。
その頃、私たちが使っていた中で一番長い竿は、230センチほどの初心者用振出竿でした。
それを、父親に借りてキャストしてみた息子。
すると、鱒レンジャーよりもずっと飛んだのです。
「えっ!これ、めっちゃいいじゃん!」
この日から、我が家では、一番長い竿の取り合い合戦が始まりました。